体化する責任を持っている訳だろうと思います。この点になれば私は男の作家だけの問題とは考えていないし、ある点から自分たちの責任だという考えを持っています。書けというのではなくて、自分が作家である以上書かなければならないという風に考えますからネ」
問「結局、新しいプロレタリア作家に期待されるわけですネ。では読者としてどんな作家の描く女性に興味を持たれますか」
答「好き嫌いということになると、大へんに内容が綜合的なものだからなかなか難しいけれど、どの作家が女を書くだろうかといえば、そうネ、菊池寛さんなんかがさっきいったような微妙な限界性の範囲内ではいきいきと金持の娘や奥さんや事務員などを書かれるだろうと思うし、谷崎さんのナオミは一つの誇張された女のタイプではあるが、好きともいえないでねえ……(考えて)……こんなに好きな女が思い出せないということも文学の上の一つの問題ですがネ。私どもは文学は現実のトッパナを行っているように考えているけれども案外おくれているのがこれでも判りますネ。だって頭に浮ぶものは古典的作家の描いた女が多いのだもの。今、やっと思ったんですが、ブルジョア文学の中でも一般的に性格
前へ
次へ
全9ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング