まり社会的なつながり[#「つながり」に傍点]において全面的に書くか、ということは作家の社会性の問題に結びつけられて理解さるべきものなのでしょうね。昨今は若いインテリゲンチア作家が積極性を自身の文学の中に求めておられるしするから、さまざまの意味で作家の社会性は拡大されてゆくでしょう。従ってだんだん女についても表面的な現象を、しかも主観的に自分の好みでとり上げて書いてきた傾向は、もっと客観的な広い関係で理解されるようになってくるでしょうが、私はなんといっても、今日のわれわれの生活の複雑な関係の中に歴史の前進するモメントをとらえて男と女との関係にしろ、女独特の問題の性質にしろ描写してゆくことのできる新しい社会観、つまり目先では一応従来のものの考え方をする男にとっては不便な、あるいは愉快でない女の感情あるいは行動をも将来の社会的な見透しの方向で観察をし、かつ批判する力をもった作家が女のさまざまな現実的タイプをかき得るだろうと思います。
プロレタリア作家が、現在ではまだいろいろの制約もあり、技術上の未発展の部分もあるが、当然歴史的にみて、その可能性を持っているのだし、その可能性を自分の文学に具
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