えれえ勢なこんだ」
多勢の注目の中に馳け込んだのは、善馬鹿のおふくろである。
まあ一体何というなりをしているのだろう?
白髪が蓬々さかだって、着物の袖が片方千切れているのも知らないように、喉元でハーハー喘いでいるのだもの……。
「ま、善がおっかあでねえけえ。どうしただ。何いそげえに狼狽《あわ》ててんだ?」
「誰《だん》だえ? う? 首縊りしたなあ誰だえ?」
婆は、真青な顔をして、皆を突きのけながら掛っていた菰《こも》をまくろうとした。
「あんすんだ。新さんよ! 水車屋の新さんが可哀《かわえ》そうにこげえなざまになっただよ!」
「気い落付けて、ゆっくら話しても分んでねえけえ」
震えている婆を皆はなだめに掛った。
「何に? 新さん? 水車屋の新さんなんけ?」
彼女は、がっかりしたようにためいきをついた。そしてしばらくだまっていたが、急に顔をしかめると、
「俺らげの善もな行方が知んねえ。そんに、今朝俺らに、どこの奴だか知んねえが、おめえの馬鹿が隣《となん》の村の、沼っぶちとかで妙な風してんのー見たぞと云って来たで……」
と云いながら、ポロポロ涙をこぼした。
死ぬ筈はないから安心
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