舞いのぼせると、実の重い作物が、ザワザワ……ザワ……と陰鬱な音を立ててうねり渡る。雲の絶間から眺められる暗藍色の空からは、折々細い稲妻が閃いて、奥深い所で低い雷がドドドドドドと轟いた。総ては物凄い様子で明けて暮れている。
その日は特《こと》に険しい天気で、夕方になってからは、恐ろしい風が吹き出したので、百姓達は皆非常な不安に攻められた。今最後の発育を遂げようとしている総ての作物が、荒い風に会い、強雨にたたかれるということは憂うべきことである。
で、彼等は田の見廻りや何かにせわしく、私共の畑も三人の小作男で、十分に囲われたり突支《つっか》い棒をあてがわれたりした。
早くから閉め切った部屋の中にとじ籠って、次第に吹き荒れて行く戸外の雨の音を聞いていると、私共は皆何だか気味悪くて離れ離れめいめいの部屋に落着いていられないような気持になった。
家中は皆茶の間に集った。
雨戸にガタガタぶつかっては外《そ》れて行く風の音、どこかの軋むキーキーいう響に交って、おびえたような野犬の遠吠えが陰気に凄く皆の心をおびやかして、千切れて飛んで行った。
風は次第に強くなって来る。薄ら明りの空を走る雲
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