うなって?」
と、柳の顔を見た。
「私今からすぐいくらかでもみんなの力でしてあげたいと思うわ」
「賛成だワ。はる子さんの口惜しい心持は私にだって実によく分るんですもの!」
食堂の不平を話したときには体裁がわるいと尻込みしていたサワ子も、はる子の手紙に動かされ、熱心に相槌を打った。
「――惜しいことにもうゆっくり相談してる時間がないわね、……で、どうしてやる? 誰か係りをすぐ決めようじゃないの」
柳の言葉をひったくるようにれい子が、
「雑誌購読会の名でしましょうよ」
と提案した。
「個人個人の名を出すと穴銭がまたうるさいから……」
「何か勧誘状みたいなものがいりゃしない?」
しづ子が訊いた。
「あった方がいい。誰が書く?」
「――柳さんお書きなさいよ!」
例の落付いた口調で柳が云った。
「じゃ、私退社までに下書こしらえておくわ。それをみんなで相談して清書しましょうよ」
「早い方がいいわ、ね!」
ミサ子が云った。
「あしたっからすぐやり始めましょうよ」
れい子、サワ子、ミサ子がめいめいうけ持を分担して××○○会社ではる子を幾分なりとも知っていた人々の間に慰問金募集をやることに
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