という迷惑なレッテルは、どこの職場でも、「聖戦」に何か批評を加えるものにはられた。それが、いつの間にかさかさになって、世界のファシストたちが、平和をみだす軍国主義者は共産主義者だなどといいはじめたのはなぜだろう。共産主義者そのほか、人類社会が発展し幸福になるためには、社会生産の機構が資本の解放とともにもっと万人の幸福のためになるようにくみかえられなければならないと考える人々は、労働者にしろ学者にしろ、資本の独占の形や、それを守るための弱肉強食に賛成しない。それらの人々はあいかわらず、侵略戦争に反対しているし、戦争挑発流行の本体をすべての人にわからせて、しん[#「しん」に傍点]から人民の生活安定に必要な平和確保の実行が可能であることをわかりあおうとしている。
一定の利害によって戦争挑発に従事している人々にとって、それは戦争中邪魔だったとおりに、いまも邪魔である。何とかして真面目に戦争をきらう人民から、そういう協力者をきりはなしたい。そのために、これらの人々は戦時中はもっていなかった輸入の知慧を役立てはじめた。どんな愚かな母でも、子供をおどかすのにはその子の一番きらうものをつかっておどか
前へ
次へ
全21ページ中16ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング