命的にもなるのです。自分にぴったりした人生の現実として階級の意味を理解し、それをいとおしむからこそ、わたしたちのヒューマニズムにおいて人民的な民主主義の立場をとらないわけにはゆかないのです。
文学サークルに属す人々と、組合指導部との間に何か気分のぴったりしないところがあったということは、こんにちわたしたちがファシズムと闘って日本に民主主義をおしすすめてゆくために、生きてゆく感情[#「生きてゆく感情」に傍点]として注意深くみなおされていい時期だと思います。文学の非常に好きな組合員が組合活動の忙しい時は、文学には眼をつむって、ある時期だけは死んだ気になって組合活動をやる。実際そういう気持を経験している人があるのです。そして組合の方がひまになったから文学へかえるという風な――一日は二十四時間しかないから時間的にはこういうこともさけがたい実際です。けれどももう一歩つっこんで考えてみると、働く者の文学、人民の文学が育ってくる過程にある問題として、この「死んだ気になって」ということは相当重大な意味をもっていると思います。組合活動が非常に忙しいという時は、大体に云って階級的感情の発露や集団的討論・
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