いられないものが、わが胸に鳴っているという希望によって書いているんです。平和という仕事もその通りです。現代の歴史ではファシズムとの闘いをぬきにしては私たちの基本的人権はもちろん文学をつくってゆくすべての人間的可能のまず第一のところ――生きて判断して、表現してゆく自由が守れない。つまり私たちの命、私たちの人生そのものがついこの間までそうであったように私たちのものでないようになってしまうわけです。今日そのことについて知らない人はないし、そのことを思わない人はなくなりました。それだからこそ、世界に平和擁護運動がおこっているし、日本に「日本文化を守る会」「民主主義擁護同盟」等があり真に文化を守ろうとする人が、民主民族戦線に無関心ではあり得なくなっているのです。
今日ここに来ていらっしゃる方々は、なんかの形で文学を愛好している方でしょうし、民主的な新しい文学を書こうと思っていらっしゃる方も多いでしょう。そういうわたしたちがファシズムに対して闘い、平和を守り、新しい自分たちの才能をもこめて自分というものがほんとうに社会的に生かされてゆく社会をつくってゆくためには何をしなきゃならないか、ということ
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