平和を保つため
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
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(例)[#地から1字上げ]〔一九四八年四月〕
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日本女性の参政二年を記念して、去る十日にマッカーサー元帥が発したステートメントの言葉は大変に美しく、日本婦人の理想の姿を描き出していたと思います。
あの文章を読んで、日本のまじめな多くの女性は深い感慨に打たれたと思います。なぜなら現実の生活において日本の大多数の婦人は、自分たちの二度の投票が果して正しく行われ、それが成功であったかどうかについて疑問を感じ始めています。どの家庭の母親もこの春子供たちを苦しめた六・三制の困難な実情について、自分たちで選んだ政府が余りに無力だったのに驚いています。確かに婦人の役人は以前より増えましたが、数人の良心的な婦人視学がいたからといって六・三制の困難が改善されぬ事実を発見しました。
婦人代議士はインフレーションを防ぐためにまだ力がありませんし、総ての家庭が苦しんでいる酷い税の問題についても、総ての婦人は自分たちの政治力がその改善のために発揮されていないことを知っていま
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