す。日本女性は真面目に自分たちの社会的能力の低いことを反省し、この次には一票を現実的な効果で使わなければならぬことを考え始めています。
日本の中にまだファッシズムと軍国主義的思想が根を張っているようです。日本には六十万以上の戦争未亡人がおり、多数の父を失った子ら、生活に困っている傷病軍人がいます。世界中の婦人が第二次大戦で受けた傷のために今日まだ苦痛の声をあげています。日本の女性は盲目的に戦争にかり立てられた自分たちの運命について次第に深刻に理解しています。どういう名目によっても再び日本があわれな戦争の火つけ人となることを拒絶しています。たとえ世界平和の名目においてさえも、平和は平和でなければならないということを知りました。
そして、日本の女性が戦争に反対する情熱は世界の数千万の女性に共通する情熱の一部であることを知っております。
[#地から1字上げ]〔一九四八年四月〕
底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社
1986(昭和61)年3月20日初版発行
初出:「毎日新聞」
1948(昭和23)年4月18日
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2007年11月30日
前へ
次へ
全3ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング