に詳細に述べておられるとおり、第二次大戦で直接国土に戦禍をうけなかった国はアメリカだけである。アメリカは第一次大戦においても同じ幸運を保った。第二次大戦では軍人だけの損失が一五〇〇万人とされている。その内訳は、反ファシズム戦争で甚大な消耗をしたソヴェトが七五〇万人、つまり半分の犠牲を出した。ドイツが第二位で二五〇万人。中国が二二〇万人。日本が中日事変を加えて一五〇万人。ところがアメリカは四九万人を死なしただけですんだ。アメリカの一年間の交通事故で死ぬ人よりも少い損傷ですんだ。イギリスは自治領を加えて四五万人。国土が安全であったアメリカは、軍人でない生命の犠牲は数においてみなかった。ナチの虐殺にあったソヴェト、日本の虐殺をうけた中国、ドイツ、日本などは、その点で比べられない悲惨を経た。
横田喜三郎博士は、もっと興味のある事実をあげておられる。それは資源の問題である。アメリカのすぐ利用できる資源は、工業生産において世界資源の八五パーセント。鋼鉄生産においても同じ。ソヴェトは一五パーセントである。石炭ではアメリカ八四パーセント。ソヴェト一六パーセント。石油アメリカ九〇パーセント、ソヴェト一
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