にたたかいつつある大衆、たたかいを欲しない大衆の内部へずっぷりつかる必要がある。「前衛の目」はプロレタリア・リアリストの目でなければならない。
一九三一年の「ナップ」方針書は、明かにこのことについてもプロレタリア作家の階級的任務を一段発展した形で示している。
一九三〇年に据えられた基本的な正しい前衛作家としての線を、具体的に活かすために、作家は、次第に水準を高めて来た日本のプロレタリア・農民の文化的自発性に、熱心な注意を向けなければならない。
大衆の中からの労農通信員こそ、新しい文化芸術創造の階級的萌芽である。彼らの中から、そろそろ現れて来はじめた若いプロレタリア作家こそ、存在そのものの本質においてすでに前衛的要求をもっている。
作家同盟は、労農通信員を組織し、その文化的自発性を助け、同時に、彼らと大衆とのうちにあってプロレタリア・リアリストとしての発育を遂げるべきだというのである。
これは日本のプロレタリア文学のために万歳! を叫んでいいことなのだ。
プロレタリア文学の正当な発達は、とどのつまり全プロレタリアの階級的自発性の発達でしかない。闘争をくぐり、文化戦線においても
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