何十年かが持続した後にプロレタリア革命に展開するであろうという見透しの上にはない。プロレタリア・農民・一般勤労階級を資本主義第三期帝国主義の矛盾によって最悪化す世界的搾取から徹底的に解放するものはプロレタリア革命によるソヴェト権力の樹立、プロレタリア独裁あるのみである。歴史的発展のこの唯一にして自明な闘争を勝利的に闘うために、日本の革命的勤労大衆のおかれている具体的条件を検討した時、日本資本主義発展の歴史的基礎として明治維新がとりあげられる。明治維新がヨーロッパのブルジョア革命とは異って、農民の搾取に基礎をおく野蛮な地主的半封建的資本主義への入口であったこと、すなわち今日われらの尊敬する階級闘争の前衛を虐殺し、ストライキと革命的文化を抑圧する地主的封建的絶対主義支配の確立であったことが明らかとなるのである。
プロレタリア革命の前駆である民主主義革命の必然性、物的基礎は土地問題にある。土地問題と現在あるがごとき形で今日われわれに残されている封建的絶対主義(プロレタリアートのよりふるい仇敵)との闘いにあり、広汎な層をふくみ専制支配に対するあらゆる不満を組織して行われる民主主義獲得のための闘争は、究極の目標としてプロレタリア革命への急速な転向(世界の革命力の高揚に応じて)をもつのみである。「最後の階級的勝利=プロレタリアの権力確立のためにこそ、日本の特殊な歴史的条件による民主主義革命は成功的に行われねばならず、民主主義革命を成功的に遂行するためには、民主主義革命における農民とプロレタリアートのかたい同盟とプロレタリアートのヘゲモニーが欠くべからざるものなのである。」民主主義革命においても指導する階級はプロレタリアートでなければならぬ。そこにプロレタリア革命への門がある。
「日本のプロレタリア文学は二重の役割をになっている」と亀井は書いているが、労働者農民の権力樹立への闘争と民主主義獲得のための闘争とは二元的に並列するものでは絶対にない。日本におけるプロレタリア革命への現実的条件として民主主義革命はプロレタリア革命の有機的前駆をなすものであり、花とその苞の如き関係にあるものと理解されるべきである。従ってプロレタリア文学者の任務は階級闘争の全戦線とともに封建勢力との闘いにおいてプロレタリア文学のヘゲモニーの確立のために闘うことにある。日本のプロレタリア革命が民主主義革命を前
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