明です。
四 書記長の発言にわたしを評価することは他の党員作家のためにならないという意味があったようです。それはどういう理由からでしょう。わたしが立候補というような当面の便宜に役立たず創作の仕事をつづけ、また特定の性格に順応しないことが他の党員作家のために有害だという理由でしょうか。それとも私の文学活動を全体として階級的立場から評価することは有害であるというわけでしょうか。
前者についてわたしは立候補しない自身の理由を明白にしました。その理由が現在の事情で客観的にも妥当性をもっていることは、教育委員会の選挙のとき来訪された方も理解されていました。
わたしの文学的活動の階級性についてもこまかく説明したとおりです。もとより、わたし一人の作品が民主主義文学の全部を代表するものではあり得ないし、一人の作家の一定の作品に革命的課題の全部――教育問題から土地革命、中小商工業者、民族資本家の問題まで盛ることも不可能です。今日の要求にこたえるべき階級的文学の多面性に対してわたしがどのように積極的で開放的な見解をもっているかということは新日本文学六月号「その柵は必要か」に示されています。
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