きいて食事をすませた。重吉は、すぐ、
「あがるよ」
鞄をもって、二階へ登って行った。とりのこされたひろ子は体じゅうがよじれるように苦しくなった。
行ってみると、重吉はぬいだシャツや服を机の上につみ上げて、そのよこのところに本をのせて見ていた。ひろ子は、みんなどけてそれを衣紋竿《えもんざお》につるした。
「――ね、どうなすったの?」
「どうもしない」
「いいえ。こんなのあたりまえじゃないわ……いつものようじゃないわ。ね、どうして?」
重吉は椅子の上で顔を横に向け、ひろ子を見ないようにしている姿勢のまま、
「どうもしない。きょうから、何でもみんな自分ですることにきめたんだ」
と云った。
「…………」
「すっかり、考え直したんだ。何の気なく、してくれるとおりして貰っていたんだが。俺も甘えていたんだ。――わるい亭主の見本だと思われているとは思わなかった」
冗談よりほかの意味はありようもなく云った言葉が、重吉をそんなに傷《きずつ》けたことが、ひろ子をおそれさせた。
「御免なさい。わたしふざけて云ったのに――」
「――しかし、ひろ子はしんではおそらくそう感じているところがあったんだ。……世
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