る。これは余程古いものであろうと好奇心に動かされて見てゆくと、方眼紙の第一頁に一九〇七年十月三十一日と英語で日附、「横浜倉庫」という見出しの下に、
[#ここから横書き]
  (1) 埋立立坪  二円五十銭
  (2) 石工     1.20
  (3) 大工     1.00
  (4) 人夫      .60
   倉庫一坪(地下室及地層)八十二円
[#ここで横書き終わり]
などと記入されています。
 続いて、小さい住宅プランを挾んで「日記。(共進会)」一九〇八・二・一〇とあり、文部省へ行って久留課長の紹介で某氏に会い名古屋へ出張して、県庁から共進会建築設計のために、嘱託辞令を受け、「旅費三十六円八十銭東京私宅へ郵送の約」などあるところを見ると、四十歳ばかりの父はまだ当時文部省につとめていたと見えます。
 コンクリート建築が日本でもその頃から漸々一般化しはじめていたのでしょうか。 (A) Depth of concrete. (B) Rough and ready rule for finding the depth of concrete. などと、数学の式が図解とともに記されてい
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