明石が近くなると思うにつれ、従って彼の家が間近くなるにつれ、支店長は熱心にひろ子を督励した。荷物をのせた一かたまりの人々が、その一台の荷車のぐるりを囲んで歩いた。そういう群が、前にもうしろにも、やって来る。あっちからこちらへ来る通行人は益々殖え、そこにも、ひろ子のように荷車を中心とするかたまりが歩いているのである。
「日に、よっぽどの稼ぎだろうなあ、この塩梅だと」
 鉢巻をした荷車ひきは、格別汗もかかず、ゆるい下りで足早になりながら、用心ぶかく、
「さあな」
と云った。
「なんせ、こんだけの人数が歩くんだからね……」
 体力に合わせては速く、大股に日向を歩きすぎて、ひろ子は胸が苦しくなって来た。もうついて歩けないと思ったとき、荷車ひきは、街道ばたへよって行って、そこへ梶をおろした。幾台もの荷車がとまって、人がたかり、荷の上げおろしをしていた。半丁ほど先に、トラックを待っている長いひろがった列があった。
「ここまでなんか」
 意外そうに支店長がきいた。
「あこからトラックが出る」
「そうか、なるほどね、これが『三里』だったか」
 実際に歩いたのは一里あるかなしの距離であった。しかし、ひ
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