きやがって」
それはひろ子も同感した。先のことを決してあるとおりみんなに知らせない。おさきまっくらのまま、目前の一寸きざみで釣ってひっぱってゆく。この街道のトラック連絡がそうであるどころか、到るところの役所、軍隊、監獄、すべてが同じやりかたでやられている。日本人は、この日本流のやりかたで、各自の運命のどたんばまでひきずられて来たのであった。ひろ子は、心に憤りを感じた。
支店長は、父子づれの荷車挽きをつらまえ、一ケ十円ずつで荷物を載せさせた。土地のものが徒歩連絡者の荷運びに稼いでいるのであった。
姫路をはなれれば離れるほど、空は本極りの秋晴れとなった。彼等が後にして来た姫路あたりにだけ、特別しまりのない雨袋が天にかかっていたのかと思う快晴になった。一筋の国道はゆるやかな勾配で上り、また下って秋の日に輝やき、歩いてゆく男たちの白シャツをその道の上に目立たせた。土埃は雨に洗い流され、影はくっきりと濃く、かたい道路の上にある。
ひろ子は、女学生靴をはいた自分の歩幅のぎりぎりで歩いた。
「奥さん、その荷車のうしろへつらまって歩く方がいいですよ。――はなすと、ズッとおくれてしまいますぜ」
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