、電燈なしだったし。あっちへ泊っていらして、却ってこちらもよかったわ。ところで、トラック、どういう工合です?」
「ああ、トラック」
なぜか、支店長はかすかにあわてた。
「我々が店まで行けば、すぐ何とかすることになっています」
「じゃあ、早く御飯たべなくちゃ」
「ああ、私はもうすんで来たですよ」
「それじゃ、なお大変だわ。下じゃ、一部屋ずつの御飯を別々にたいている始末なんですから……」
台所へ下りて見た。五つばかりの孫娘がおき出して、甘えながら何かせびっている。野菜売りの女が来ている。その土間の隅で、ひろ子の分の飯はやっとふきはじめたところである。
「御飯が出来るまでに、すっかり仕度してしまいましょう」
三十分ばかりすると、若い者が、支店長の荷物とひろ子のリュックとを自転車にのせて店まで運んだ。
ひろ子は自分で、炊き上った飯を釜ごと二階へもち上った。急いで、食べ、あつい飯を二つの茶碗の間でころがし丸めて、握り飯をこしらえた。
勘定をはらって、雨こそあがったが、まだ十分晴天にもなり切っていない往来へ出た。橋の手前の横通りの出水はもうひいていた。白鷺城の濠に沿ってた大通りは、今朝も
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