四五日で直したところを、今は何しろ人を動かす米がない、酒がない、資材がないので、まるで見とおしも立たんそうです――弱りましたなあ」
 支店長は大阪府下の家族のところから電報が来て帰る途中なのであった。広島へ引かえすにしても、岡山までの汽車さえ、キャバレー主人の乗ったのが最後で不通になってしまった。
「明石まで何とかしてゆけばいいんですね」
「そうどす、明朝トラックを心配して貰うことにしました。もし何やったら、おとなりの兵たいさんがたをのせて上げてもよろしいから。――そのトラックが、果して明石まで行けるやどうやしら。加古川辺が大浸水だそうです」
 いよいよとなれば、途中で泊りながら明石まで歩くしかないとなった。それにしても天候が不安定であった。晴れたり降ったりしていた雨は夜に入って、本降りになって来た。その中を、昼間の若い者が支店長宅からと云って迎えに来た。
「おさしつかえなかったら、今晩はお泊りやすようにということであります」
 ともかく、と云って伴れが出て行ってしばらくすると、停電になった。真暗闇で坐っている耳に、裏の篠笹山をそよがして横なぐりの豪雨が降りかかるのがきこえ、はげしくガ
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