しょう、こうしていたってきりがない」
 新しい伴れが、警察に宿屋を斡旋させようと提案した。数百人の旅客が、白鷺城跡の見える駅前の仮小舎にかたまって途方にくれた。
 焼跡の大通りを、大分歩いて市庁の建物のあるところへ出た。ジープや大型トラックが、雨水をしぶかせて、城下町の通りを疾駆している。M・P本部の玄関で若い白ヘルメットが、金色の長い睫毛を伏せるようにして日本のヒメジの十月の雨脚を眺めていた。
 三人は警察の大玄関をのぼって行った。背の高い新しい伴れは、「案内」と英語の札が出ているところへ斜に片肱をかけて、用件を話し出した。年輩の巡査が、
「さあ、どうも……お気の毒さまですが、何しろ日に何万という旅客のことでして……」
 うしろを向いて、同僚と何かうち合わせ、いやあすこは、もう入れまい、というような話をした。多くの旅館は、昨今慰安所になっているのだった。
「ひとつ、何とか御配慮願いたいもんですな……」
 片肱をかけて話している伴れは、チョッキのポケットから巻煙草入れを出し、一本ぬいてゆっくり火をつけた。それはいかにも、相手にも、さア一本、と出すことになれている者らしい素ぶりである。全
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