目で見たし、耳できいた。道理は常識が判断するのとは、全く逆につけられた。重吉に対しては、ことさら苛酷で、同一の事件、同一の立場、経歴においては却ってより軽い重吉ばかりが、数人の同志たちの中で、一人だけ無期懲役を宣告された。一個の姓名のわきに、書き並べることが出来るかぎりの罪名がつらねられた。ひろ子には、その一つ一つが、重吉の躯をしばって一足ごとに重い響を立てる鉄の鎖の環の数として、その重みとして感じられた。事実をとりあげて、社会生活の歴史の中におこった一つの現実としてみれば、そこに何一つ犯罪らしいことは行われていなかった。政治的なたたかいの方法において卑劣であり、非道義的な腐敗を示したのは、スパイと、それを飼い、計画を与えた権力者たちの行動であった。人生に経験は浅いかもしれないが、それだけ無私に社会の不合理を改善しようと熱中する若者たちの試みは、歴史の当然の足どりであるものを罪人にするそもそもが、ひろ子には、納得しかねた。
この理不尽な法律が、有罪とすれば、たとえば重吉の母にしろ、やはりそれはわるいこと、こわいことと考えずにはいられなくて、そのなげきを和らげ、息子への信頼と希望をたも
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