れているような東京であったのだ。
大阪からの新聞がやっと配達されるようになった。呉線まわりで運ばれた。山陽線は不通のままで、特にひろ子にとって困ったことは、広島までが山崩れ、トンネル崩壊でふさがっていることであった。
「困っちゃった。いつになったら三次《みよし》に行けるのかしら――私、あきらめちゃいないのよ」
「まあ、いそがんことでありますよ」
叔母が慰めた。
「たまには、ゆう[#「ゆう」に傍点]におしませ。いつ来ても、三日と泊っておられんじゃったもの。ゆう[#「ゆう」に傍点]におしませ」
「あっちで、かまわないかしら」
母のことが気にかかるのであった。田原の生活がしっくり感じられれば感じられるほど、ひろ子は、母もこちらに来させて、ぽってり柔かい掌でつかれた腰をなでられるような思いをさせたかった。
「今はつや子さんの妹が来ておってでありますもの、あちらもゆう[#「ゆう」に傍点]にありましょうよ」
呉線が、一部徒歩連絡で開通しはじめたことは、ひろ子を落付かなくさせた。早く、三次《みよし》へ行くなら行って調べて、ここを動き出したい心になった。遮断されていた鉄道地図の北のはてが、気が
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