かりになりはじめた。
気休めと自分でもわかっているような網走への手紙を、大アスファルト通りの郵便局から書留にした。財布を手に握って、横丁をゆっくり来た。朝の十時すぎで、ほうき草の生えた魚やの竹垣のところに、きれいな白魚が干してある。新造の銀行が、そこだけの覚醒した抜けめなさで臆面もなくごたごたした角に立っているかなたに、あかちゃけた大笊《おおざる》の形で、工廠の鉄骨が見晴せた。そちらから、九月も末の海の風が吹いて来た。鈍青色の工廠の塀にかこまれた海岸の松並木が焦がされているのも遠目にみえた。その浜つづきに、板三枚ほどの幅の埠頭が入江に向って突出ていた。一見釣舟の出入りするようなその埠頭へ、夜になると、そっと軍人が集った。そして、人間魚雷が発射された。夜毎、そうして発射された。搭乗した特攻隊員で還るものは決してなかったし、大洋まで行ったものさえもなかった。人間魚雷の多くは粗製で途中で爆発し、沈んだ。しかし、夜になると、数人の者が、またそこに集った。住民たちは、それらのことをすっかり知っていた。が、雨戸をしめて、何も知らなかった。何故なら、その附近は厳重に立入禁止であったし、すべては、知
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