とかにその責任をゆだねられているとのことで、その大蔵省は東京にあるのであった。
 さわ子は、工夫して、時間割のやりくりをはじめた。半数の学童が算数をやるような時間に、半数は外へ出て体操や作業をするようにした。これは、教師の負担を多くすることであったが、子供らは救われた。今では、そこにつめこまれているすべての学級が、そのやりくりで運営されているのであった。
 田原ではラジオがどうやらきこえた。女ばかりの一家ではあるがみんなが、九時のニュースを大抵かかさずきいた。ある晩さわ子は読本をもって来て、ひろ子に相談した。大東京という題目で書かれた一章であった。
「こんなにいろいろ書いてあるけれど、今の東京はまるで違っちょろうと思うの。どの辺がのこっているのか、よう分らんのよ。子供らに、もう本当のこと教えなければ、すまんと思うの」
 福島にいる伸一が、丁度休業中の宿題にそこを出されていた。ひろ子は、地図を出して一九四五年のその夏、現実に在った東京を説明してやった。さわ子が、赤い麻の服を着て、姉の縫子につれられて、子供らしくむく犬のついたブックエンドを伊東屋で買って貰った頃、東京は、たしかに読本にかか
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