丁に曲ると、この十何年来ひろ子が愛着をもって時折歩いた林道、昔少年だった重吉が祭礼の列について走った村の道が、ぼろの布はじのように溝端に押しつけられてのこっていた。ガタガタになっているその町並の中でもまず目に入るのは、ガラス張りの近代風な銀行であった。それは、三和銀行であった。このせまい界隈に、いくつの銀行ができたというのだろう。工廠そのものはひしゃげた鉄屑の大集積になってしまった。しかし、これらの銀行はまだまだ生きて音も立てずにその活動をつづけている。
ロータリーのあたりから、旧い村町が蒙った変化を観れば、空襲でこの大工廠が跡かたもなく破壊されたことなどは、むしろ、かえって整理の方向への第一段のようにさえ思われた。人々の生活の安定は、とっくにその前に壊されていた。抵抗しがたい暴力がのたうちまわり、住民の生活をはねとばし、直線の大道路をひきまわし、しかも何一つとして完成させないで、突然その狂暴な力は虚脱した。みるすべての人々を絶望させる子供だましの壮大さと、虚勢の尻切れとんぼとがあった。無意味なものとなり、空虚なさびしさを示すばかりのアスファルト二十間道路。ひっくりかえって起すものの
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