でも手ごうしに来ますけに、心配はいりませんで」
 この人は永年石田の前に住んでいる鍛冶やで、整備兵に行っていた二男も先頃帰って来ているのであった。
「どうでありましょうの、堰《せき》は切れよってでありますか」
「――今年はどうですこし様子がちがいよりますのう――じゃまた」
 ひろ子たちは、二階へ七輪とやかん[#「やかん」に傍点]と茶碗かごをもって上った。
「さあ、まあ一息せにゃ」
 はったい[#「はったい」に傍点]粉をかいた。
「おお、そうじゃ、燈心はどこにあったかいの」
「上の棚でありましょう」
「きっと今に停電しよるで」
 縫子が下へ行って、燈心と油と皿をもって来た。
「少し水がひきよってでありますよ」
「お母さん、横におなりませ」
 ひろ子が土地言葉で云った。
「もう大丈夫らしいから。あとは気をつけますから」
「みんなも、おやすみ……どれ」
 母は、着たままころりとしき並べた布団の端に横になった。
「ほん、ここはようない土地じゃのう」
 つや子も、スカートのまま二人の子供たちのわきに体をのばした。
 そのとき、電燈が消えた。
 縫子が見つけてもって上っていた蝋燭《ろうそく》に火を
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