は珍らしい気がして見て居たけれ共、段々時が立つにしたがって私は恐ろしくなって来た。私は此上なくいやなのだけれ共、祖母がきかないので、部屋の中は真暗である。二つの床をぴったりとよせて枕屏風が暗い中でも何か違った暗さに私達を取りかこんで居る。
一尺一寸位の四角な面に絶えず白い粉が乱れかかって、戸は今にもたおれそうにガタガタきしんで、はめ込んだガラスの一種異ったビリビリ云う音が寝しずまった家中に響きわたる。下らないものでも見つめて居ると恐ろしくなるか又は嬉しくなるものだと私はいつでも感じて居る。明るい中でみつめるものの総ては土でも木でも色々な日用品でも皆、自然《ひとりで》に微笑が湧きのぼる様な柔い気持になる。けれ共夜の暗い中で物を見つめて居る時の恐ろしい事と云ったら、もう躰がすくんでしまう様な、顔を掩わずには居られない様になる。私はじいっと眼を据えて白い粉雪の飛びかかる四角い処を見て居るうちに段々その四角がひろがって行き、飛び散る白いものも多くなり、それにつれて戸の鳴《な》る音さえ、ガンガーン、ガンガーンと次第に調子をたかめて行って、はてしもなく高く騒々しくなって行く音は、家中のありとあら
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