だった事にはなくてはならない人になって居る。
召使より早く起き日の出ないうちに外囲りを掃いてから、乳搾りやその他のものを起すと云う事は知らぬ者がなく、働き手で通って居る。体も骨太に思い切って大きく眼の大きい眉の太い弟の方は兄より見かけが良い。兄よりは熱のある顔つきをして居るけれ共深い事は知らない。
荷馬車の轍《わだち》の深い溝のついて居る田舎道を下り気味に真直に行って茨垣の中に小さく開いて居る裏門から入って行く。
左側の小屋の乾草を小さい男の子が倍も体より大きい熊手で掻き出して居る。
牛はまだ出て居ない。午前中は出さないものと見える。狭い土面をきちきちに建ててある牛舎には一杯牛が居る。私の幼《ちい》さい時から深い馴染のある、あの何だか暖ったかい刺激性の香りが外まであふれて居る。
退屈な乳牛共が板敷をコトコト踏みならす音や、ブブブブと鼻を鳴らすの、乾草を刃物で切る様な響をたてて喰べて居るのなどが入りまじって、静かな様な、やかましい様な音をたてて居る。
わきに少しはなれて子牛と母牛を入れてある処がある。乳臭い声で「ミミミミ」と甘える声や、可哀くてたまらない様にそれに答える母牛の
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