り、資本主義国家が第一次大戦後欧州の社会主義化をおそれて、ナチスに投資したことがどれほどの悲劇を招く原因となったかということ、また、ジュール・ロマンの「善意の人々」は理性的な方法を知らなかったために、どんなに善意を翻弄されたかということから私どもの学ぶべき点を書いた。
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一九四六年(昭和二十一年)
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極端な帝国主義日本を武装解除し、民主化しようとする混乱と多忙とが始った。文化の面では文学の新運動ばかりでなく、戦争中もっとも戦争協力を強いられたラジオ、新聞の民主化に着手され、GHQの協力によって日本のラジオの民主化のために民間各界の代表をあつめた放送委員会が組織された。その委員の一人にえらばれた。ポツダム宣言によって日本の婦人が選挙権を得た。婦人の政治的、社会的啓蒙、民主化活動も同時にとりあげられて、CIEの個人的顧問であった婦人たちを中心として佐多稲子、壺井栄、山本安英その他の婦人芸術家をも包括する婦人民主クラブが組織された。その下準備のために多くの時間がさかれた。
三月、総選挙が迫るにつれ、特に婦人のために社会状勢のあらましを知らせる『
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