月。世代の価値。(評論)
十二月。今日の文学の諸相。(文芸評論)
その他文芸時評、婦人問題に関する執筆多数。
単行本。小説集『朝の風』(河出書房)
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一九四一年(昭和十六年)
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この年一月から再び作品発表を禁止された。日本の権力は戦争反対どころか、「自主的」な「文化的」なすべての心情を非国民的と扱うようになってきた。すべての新聞、ラジオ、出版物は嘘と分っている戦争煽動に動員された。そして十二月八日に太平洋戦争に突入した。十二月八日の払暁、戦争に対して反対の見解をもっていると思われていた千余名の人々が日本中で検挙された。私は十二月九日理由不明で駒込署に留められ、〔翌年〕三月検事拘留のまま巣鴨拘置所に送られた。六月下旬警視庁の調べがはじまった。何でもかでも共産主義の宣伝のためにしたという結論におちつけようとする調べであった。六月下旬に検事が来たとき私の調べの事情をはなし、自分が全く作為的な調書をとられていること、もし公判になれば、自分はそれをひるがえすということを話した。検事はそういう調べについて困ったことだといったまま帰った。七月二十日すぎ
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