ころだ。四・一六の前から、救援運動を通じごく実践的に組織されて来た婦人部だし、みんな年配で経験は深いし、ソヴェト同盟農村託児所の話、産院、休みの家、勤労婦人の種々な権利についての話は、実際の興味をひいた。
 ソヴェト同盟の話は、われわれの今日の情勢とひとりでに結びつき、戦争の話も出た。「市太郎やーい」の活動写真が村へ来た話をしてくれた。
「ただで見せるちゅうからやらずばなんめえてやったら、七銭とられただよ」
「しようねえな。支那とこんなことんなってはあ早速豆板(肥料)が上っただよ。こないだ××さんが買った時は一円二銭だったのがは、一円二十二銭しるだアよ」
「おーさ。石油も上りはじめただよ」
「こいでまた繭の値はがた落ちだし、どっち向いてもいいことはねえ」
 が、愚痴じゃない。そう云った五十ばかりのお神さん自身活々と輝いた眼をしてランプの下で笑ってるし、みんなも「おーさ!」と答えつつ、悄気ているどころか! 段々本気に子安講のことを討論しはじめた。部落で一戸ある裏切者を中心に四五人がかたまってその講をたて飲んだり食ったりしているんだそうだ。
「――みんなあ、産が安かんべと思って、講さ入って
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