盟する十三の文化団体は、講演会、展覧会、芝居の公演と精力的に参加した。日本では工場で働く婦人の数だけでも男の労働者の四割八分を占めている。そんなに大勢いる勤労婦人のための特別な催しを、この挨拶週間のプログラムから抜くことは出来ぬ。「働く婦人の夕べ」は、この目的のためにも、わたしら働く婦人にとっては忘られない日本ではじめての催しだったのです。
ところが、所管署築地警察署では、「働く婦人の夕べ」の集会届けも余興の興行届けもちゃんと手続を経て受けつけ、許可しておきながら、いよいよその日になって開会の辞を中條百合子が一分ばかり話したら、中止! 解散を命ず! と襲って来た。中條百合子が「今日ここに集っていらっしゃるみなさんを見ても若い方が多い。お婆さんは」と云いかけたら、いきなり中止! 解散! です。すぐ司会者が舞台の上から「集会は解散になりましたが、余興は別に許可されていますから、すぐそちらにうつります。皆さん、帰らないで下さい」と大きな声で告げた。すると築地署の臨監が「公安に害ありと認め興行届認可を取消す」と怒鳴った。まだ歌一つうたいもしないうちに、何が公安に害ありでしょう! 余りいわれな
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