組み]“The day is cold and dark and[#ここで横組み終わり]
 小雨のうす暗く降る空を見ながら誦すと一人手に思いが深くなる。
[#ここから横組み]“my thoughts still cring to the past.”[#ここで横組み終わり]
○幸、不幸、それははかりしれないものが司って居る。今の私は忘られ行く過去を憶う人とはなると思えない。

 六月二十二日(月曜)
[#ここから20字下げ、折り返して24字下げ]
〔摘要〕欠席
[#ここで字下げ終わり]
 見えない小雨がして居る。
 大工のかんなやかなづちの音もいいかげんにうるおうて響く。
 内に居る日に見えない小雨はなつかしいものだ。

 六月二十三日(火曜)晴
○五月雨時にまれな天気である。頭が軽い。
○大瀧さんに葉書を書く。
○紫陽花《あじさい》の群が重く咲き満ちた。
 ○白鳩の若き翼に夏の日の
    黄金の色に舞ひ舞ひてあり
 ○若楓の青きを恋ひてしたひよれば
    黒き毛虫は我肩を這ふ
 ○梨の葉の云ふ甲斐もなくしぼみ行きて
    来ん日はなどしさうも愚や

 七月六日(月曜)
 不義の
前へ 次へ
全45ページ中36ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング