二月二十七日(金曜)
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〔摘要〕学校出席、音楽試験
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 二月二十八日(土曜)晴 寒
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〔摘要〕同級会、小さくてかわいい花束をもらう 古橋氏
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 竹島先生の話の中で、
 生をあたえた神が又死をあたえると云うのは神の大なる矛盾だと思う、
 慾望の変遷は尊いなくてはならないものだ。
 なんかと云う事があった。
 竹島先生は意味なく只死をおそれて居るらしい口振である。一言きけばいまわしい死の事もしずまったおだやかな気持で学問らしく考えれば面白い。そんなに悲歎する様なものではない事を私はしって居る。

 三月一日(日曜)晴 暖
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〔摘要〕母上小金井
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 珍らしい人達は母様の留守をねらっての様に沢山来た。そうして私のし様《よう》とした事はその人達によってぶちこわされてしまった。一日中いらいらしたそうしてかなしい気持でばっかりくらしてしまった。思い出と名づけていいものは私をひしひしととりかこんで来て居た。今私のして居る仕事が八月末には出来上る事なんかも考えた。わけもなくいろんな事が思われた。
 収穫漸減

 三月三日(火曜)
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〔摘要〕木曜作法試験
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 三月四日(水曜)
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〔摘要〕金曜文法
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 三月十五日(日曜)
 国男京華入学試験同じ日だのにお茶の水でもあった。

 三月十六日(月曜)晴、寒
 あきあきするほどの長雨が漸《ようや》くはれて霜が降って居た。

 三月二十五日(水曜)
 お敬ちゃんが来る。新お召の矢がすりの羽着[#「羽着」に「(ママ)」の注記]に銘仙のあさぎっぽい着物を着て来た。
『演芸画報』をかし孔雀の刺とりの額をやる。

 三月二十七日(金曜)不定 寒
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〔摘要〕京北試験国男四番にて及第、大正博行
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 グースベリーの熟れる頃を書く。

 三月二十八日(土曜)
 小さい論説
  繊細な美の観賞と云う事について

 三月三十日(月曜)
 Wo
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