winkle, little star, How I wander what you are?
って云う口調のいい可愛い詩があったもんで首をふって調子をとりながら赤い可愛いかっこうの本をなでながらうたってました。
そいから古い錦絵のうつしかけを又かきました。胡粉《ごふん》をぬりすぎたんで妙なかおになっちゃったんですの、まるで色のくろい人がデゴデゴに白粉をぬったようにネー、一人で笑ってたんですよ、「まるでそれじゃあせっかくのおひいさまも半分はきりょうがわるくなるってネ」一緒にかかえて来たロビンフード物語りと「花月雙紙」をよみました。「花月雙紙」は少しわからないとこが有るんでノートに書きぬいて置きましたけど、母も又おなかがいたみ出したと云ってきのうから居るんでこのあついにツキつけてきくわけにもいかず、自分がうごくのが一寸面倒だったんで、……ほんとにこんなにあつくっちゃあ、坐ったらもううごくのがいやですものネ――。いくら細い人だってそうだろうと思うんですけーど違うんでしょうか。
だれだっけかが云いましたけど、世の中で熱にあって縮まるものは焼物だけだってネ、三分ノ一ぐらいちぢまってしまうんです
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