の体に対しての怨みと、浩及び、無形な何物かに対しての腹立たしさに、彼女はブルブルした。このごろのように、苦労が一倍多かったり、病気が悪くなって来ると、恢復期に彼女の心に起ったような、優しい潤いのある心持は、すっかりどうかなってしまって、不安な焦躁《もがき》と、倦怠《だるさ》が心一杯に拡がった。あまり丈夫そうにピンピンしている者を見ると、「ちっとは病気もするが好い」という気がして、浩などに対する腹立たしさも、後で考えてみれば、彼の健康に対しての嫉妬が混っていたのだと、我ながら恥かしいような心持になることもあった。
「お父さんがまたお医者にかかっている……」
 いくらかずつ遣り遣りして、仕舞いにはどうしたら好いかと思う医者への払いなどを考え出すと、今日こそは、ちゃんと順序を立てて考えましょうと始めこそ思っていても、だんだんいろいろなことで頭が乱れて、きっと泣いてしまうのが落ちであった。
 けれども、孝之進は、始めの様子に似げなく少し工合がよくなるとドンドンなおって行った。また無理でもなおらせずにはおられなくもあったのだけれど、とにもかくにも、医者が、疲れが一時に出たのと、リョウマチがついた
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