え唄を、伯母さんからおらくが教わったものだ。お咲を始め、死んだたくさんが、この唄でねせつけられたのである、それをまた彼女が咲二を眠らせるに唄う。家庭的な思い出の深いものであった。十ある歌詞《うた》を彼女はたった三つ、それも飛び飛びにほか覚えていなかった。
五つとの――よの――え。
猪うたんと勘平が――勘平が――
ねらいすました二つだま
放そうかいな――のな。
七つとの――よの――え。
生酔《なまよい》のふりをした由良之助――由良之助――
主人の逮夜《たいや》に蛸肴《たこざかな》
はさもうかいな――のな。
十うとの――よの――え。
とうとかたきを討ち納め――討ち納め――
主人の墓所にめいめいと
手向きょうかいな――のな。
お咲は何心なく、手を延してさっきまですぐ傍に寝ころんでいた咲二に触ろうとした。けれども、いつの間にかいなくなっている。彼女一人の影坊師が、煤けた障子に写っている。
「オヤ。またいない! 一体まあどこへ……」
彼女は、フト或ることを思い出した。そして急に陰気な表情を浮べながら、そこから草履を引っかけて、外に出て行っ
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