まった。
 いくらか足早にそこをぬけると、風景は再び前方に明るく展開して、小高く連なる耕地の裾をとおる一本道は、水勢のはやい流れに沿うた。柳が生えている川岸に、ここでも鵞鳥が黄色い嘴《くちばし》をふりながら餌をあさっている。丘になった耕地の彼方に、いかにも風車でもありそうな木造の洋風の高い小舎が眺められた。
「あれなにかしら……」
「なんだろうな」
 竹村は伸子にそうきかれてはじめて眺め直すように、そっちを見た。
「あなたのところ、あの近所?」
「すこし方角がちがう、もうすこしこっちになる」
 荷車が一台耕地の間の草道に置いてある、その方を指さした。
「もうそろそろついてもいい頃だな」
「栗の樹があるだろう? あの角を入ればすぐさ」
 ぐるりが畑の真中に、突然畑でない地面が四角く開いて、その垣根も何もないところにかなり大きい一棟の温室と、すこし離れて住居が建っていた。竹村は道を歩いて来たその足どりで住居のガラス窓へよって行き、白いカーテンのしまったところを一寸のぞいてみてから、おくれて来た素子と伸子を温室の入口で待った。
「さきに温室を見て貰おう、ね」
 ズボンのポケットから鍵を出して
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