になっていた。実際に失業がそんなにひどい現実とのつながりでとりあげられず、厨川白村がしきりに書いている恋愛論のロマンティックな色彩の裏づけとなる条件のように、婦人の経済上の独立ということが扱われている傾きがあった。
素子と竹村とが、一人は縁側に、一人は卓の前に、はなれたところからしずかに二条のたばこの煙をただよわせながら、話している。それをきいている伸子のところから、庭の片隅にある竹藪が見えた。どこかから鶏が雌鶏をつれてそこへ入って来て、遊んでいる。雄鶏はココココと真赤に重く垂れた肉髯《とさか》をふるわしてのどをならしながら、つもっている落葉の間を掻きたてた。五月末の青竹の色とその間に動いている白い鶏の姿とは、閑散な午後の日のうつろいのうちにある。
竹村と話している素子の話しかたには、一種の調子があった。どんな男友達とでも素子が話すいつもの調子なのだが、その調子は素子がほかの女友達やワーリャを対手に話しているときの、まともで真実のこもったやりとりと、どこかちがった。素子は真率な人柄で、それだから男友達も多いのに、その男友達とのつきあいの間で、素子は、自分が女っぽく扱われその興味で見
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