ときから、もう数ヵ月たっている。それだのに、伸子の目には教科書以外の一冊の新しい本も見当らなかった。園芸の本だけは一かたまり、もとからのところに立ってはいるが。――
乱読して来た伸子には、保の若々しい精神がこの本棚のような有様でもちこされているということには合点がゆかなかった。
「保さん、いなかったわよ」
伸子は、実家へ遊びに来ている大きい娘というようないくらか甘えた声で母にいった。
「出かけちゃったのかしら」
「ああそうそう、保さんはね、土蔵だよ」
「土蔵?」
かたづけものでもたのまれたのだろう。伸子はすぐそう思った。
「じきすむかしら」
「すむって――勉強してるんですよ」
「土蔵で?」
伸子は、頸がのびたような眼つきをした。
「何しに土蔵なんかでやるの?」
おかしいの! 伸子はそのひとことを口のうちでつぶやいた。土蔵のどこが、勉強場所として心持よいというのだろう。
「あすこの地下室は涼しくっていい気持なんだってさ、それにしずかでいいって――それゃしずかなことはしずかだろうさ」
多計代はユーモラスにうけとっているらしく、本当にあのひとは、という風に笑った。
大きな音をた
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