つつあった。腕に喪章をまき、日ごろのあからがおも蒼ざめて見える久留雅雄は、やはり通俗作家となって、昨今文壇に流行をきわめている麻雀のもとじめとゴシップされていた。
 生きつづける友人たちの生の営みは様々であるが、相川良之介をかなしむ思いではひとつにながれていて、伸子は、白い花ときらめく蝋燭の灯にちりばめられた式場に声ない哀悼の合唱を感じた。生きるために生きることを拒絶しない人々は、それを拒絶して翔び去った友人の最後のかどでを、真情の手に舁《か》いで送っている。伸子は、黒と白と金色の悲しく美しい「オルドス伯の埋葬」というグレコの絵を思いおこした。
 こらえていて涙が汗にかわって全身からにじみでたあとのようにぐったりして、伸子は谷中の式場から動坂のうちへまわった。
「大層な疲れようだこと」
 かり着の浴衣にくつろいでも、口がきけないようにして冷たいものばかりのんでいる伸子をよこから眺めながら、多計代がいった。そして、つつみきれない好奇心で、遠慮がちに、
「――お葬式、どうだったい?」
ときいた。伸子は、すぐ答えられなかった。そういう風にきいたり、話したりするにふさわしい感情が伸子のなかにな
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