けに行ってやったりした間柄であった。
「一人でいったら?」
伸子は、何となしおっくうだった。伸子が小説をかいたりするせいもあって、友達となるのは大抵の場合その家の主人であり、そこの細君のこころもちに向ってくばられる神経が伸子として、多くの場合二重の負担だった。主人であるひとと話がはずめばはずむほど、伸子は細君にたいして愛想よくなくてはならない自分を感じた。そして、細君との話題は、主人であるひととの話題とはまるでちがった内容で、素子のように「男のような方」と思われていない伸子はそれが重荷なのであった。現実には、素子の方が、食物のことだの、着物のことだのを遙かにくわしく知っているのに――。
「ぶこちゃんも行くっていってやるよ、いいね、十日に――」
ハガキをかきながら素子は、
「ぶこちゃんのひっこみ思案は、謙遜からじゃなくて、傲慢からさ」
といった。
「だからどしどし、ひっぱりだしてやるんだ」
約束した日の午後、素子と伸子とは一旦新宿でおりて、小川豊助のところへもってゆく手みやげを買った。
「タバコにしよう」
素子が新宿駅のプラットフォームを歩きながらきめた。
「自分じゃなかなか気ば
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