んな役に立たないモーターをすえつけさせたことをおこりつづけた。癇癪をおこしながら、泰造は自分でモーター室へ下りて行って、調べたりした。モーター室の上は、天井のコンクリートを利用して、快適な屋根のない亭になっていた。入口のドアの外に靴の泥おとしが鋳ものの鉄製で、面白いスコッチ・テリアの形をしていた。半地下の外壁に噴水のしかけがあったりした。あっちこっちに泰造のそういう趣味がちらばっている。それは伸子を興がらした。けれども、モーターのことで居る間じゅう母がおこりつづけていることは馬鹿らしく思えた。風景の晴れやかさや別荘のいかにも快適らしい外見と、多計代の不機嫌とを見くらべると、チェホフかゴーゴリの小説に諷刺的に描かれている細君のようで、ばつがわるかった。水をもらいにバケツを下げて街道の漁師の裏へ入って行くと、そこには半分裸のような男女の子供らがはだしでついて来た。どの児の髪の毛も潮やけで赤く、ばさついている。黙ってとりかこんで、水をくんでいる「東京の邸」の女を眺め、なお街道をよこぎって崖の下の、細道の入口までついて来た。そこから奥へは入って来なかった。ものをいいかけても黙っており、笑いかけ
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