あ、みんな行った――僕と保が留守番だから、いらっしゃいよ」
「――つや子も?」
「ええ。お父様が神経痛で事務所を休むことになったもんだから、急に大さわぎしてドタバタ行っちゃった」
「そうなの」
それならよかった。多計代は一人でまめに汽車の往復は出来ない人だし。――
「いつもなにか文句をいうお母様が、案外簡単に出かけたんで、おとうさま、おどろいてたよ」
思いきって、良人や小さい娘と東京をはなれる気になった多計代の心持も伸子には推測された。
「なんで行ったの?」
「僕が東京駅まで送って行って、あとは汽車」
「――さぞ大変な荷もつだったんだろう」
伸子は笑い出した。大小のトランクや風呂敷包みのほか、多計代のゆくところへはいつも水筒だのバスケットだのが欠かされなかった。そういうとき、母の大きい手提袋をもたされるのは、つや子であった。頭の上に大きいリボンをつけて、おしゃれをさせられながら、しまりのないおかしな恰好をした大きい袋をもたせられるとき、つや子はきまりわるそうにいやそうに眼を伏せて唇をかんだ。その一行が、ぞろぞろ東京駅に入ってゆく姿が目に見えた。
「いつ頃まであっちの予定?」
「さ
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