。
「今晩は――お邪魔じゃないこと?」
「どぞ、どぞ」
ドーリヤ・ツィンが早口の日本語で云った。
「わたしたちの勉強、すんだところです、ね秋山さん――そでしょう?」
「ええ――どうぞ」
ドーリヤと秋山とが、そうやってくっついてかけている様子は、まるで丸くふくれて真紅な紅雀のよこへ、頭が灰色で黒ネクタイをつけた茶色のもっと小さい一羽が、自分からぴったりくっついて止り木にとまっているようだった。若い内海厚が却ってつつましくドーリヤからはなれているところも面白かった。ドーリヤ・ツィンという珍しい姓名をもっているこの東洋語学校の卒業生から、秋山はこの頃ロシア語を習っているのだった。
「ドーリヤさんと秋山さんがそうして並んでいるところは、二羽の紅雀のようよ」
伸子が笑いながら云った。
「ベニスズメ?――それなんでしょう、わかりませんね」
「なんていうの? 紅雀」
伸子にきかれた内海は、
「さあ」
と首を曲げた。伸子は、不審がっているドーリヤの気をわるくしないようにいそいで、
「小鳥」
とロシア語で云った。
「二つの小鳥……二つのロビンよ」
「おお、ロビン! アイ・ノウ」
ドーリヤは英語
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