ように云うのだった。新聞――伸子はうけて来た許りの様々の印象で瑞々《みずみず》しく輝いていた眼の中に微かな硬さを浮べた。
毎朝起きると、ドアの下から新聞がすべり込んでいるようになったとき、伸子は、自分によめない字でぎっしり詰まっている「プラウダ」の大きい紙面を、あっちへかえし、こっちへかえしして眺めた。そして、素子に、
「あなたが読んでいるとき、ところどころでいいから、わたしにも話してきかしてくれない?」
とたのんだ。そのとき「イズヴェスチヤ」の一面をよんでいた素子はすぐに返事をしなかった。
「ねえ、どう?」
「――ぶこちゃんはデイリー・モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]よめばいいじゃないか」
「どうして?」
むしろおどろいたように伸子が云った。
「デイリー・モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]は、デイリー・モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]じゃないの。モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]・夕刊は、プラウダとちがうでしょう? そういう風にちがうんじゃない?」
主として外国人のために編輯されている英字新聞が、プラウダと同じ内容をもっているとは思
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