ハ毛《まつげ》の長い黒い眼にある一種のつやっぽさ。伸子と素子には、娘たちのなりわいが推察された。同じさくらという日本名をもっていても、この娘たちにくらべると光子とその友達のさくらは、まるで別の雰囲気の若い娘たちだった。
 一つ長椅子の上に並んでかけた姉妹は伸子たちと、ぽつりぽつりあたりさわりのない話をはじめた。二人ともほんとに内気らしく、二人ともどこにも勤めていない、と答えたりするとき、そんな質問をしたのが気の毒に思えるような調子だった。素子が間に日本語で、
「あなた、このひとたちの家へ行ったことがあるんですか」
と吉之助にきいた。
「ええ、一二度」
 そして、
「ひどいところに住んでいるんです。何人も一つ部屋にいて、カーテンで区切って。あんまり気の毒だったから少しおくりものして来ました」
と云った。娘たちの住居はモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]河のむこう岸らしかった。
 十分もすると吉之助は、ちょっと今のうちにすまさなければならない荷作りがあるから、と自分の室へ戻って行った。
 娘たちは、しきりに吉之助の立つ時間をきいた。それは、伸子たちも知っていないのだった。もう引きあ
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