ヲ[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]で吸収できるだけの収穫を得ようとする自分の熱心もおさえかねる風だった。あしたのソヴ・キノ見学について、素子とうち合わせた。
「エイゼンシュタインも偉いですよ。そりゃたしかにすごい偉さなんでしょうけれどもね、僕らは製作の実際で、お話にもなんにもならないしがない苦労をさせられているんでね。ソヴ・キノの製作企画や、仕事のしぶりみたいなことも知ってみたいんです」
 三人が行ったときエイゼンシュタインは、丁度ソヴ・キノの大きい撮影室で、農民が大勢登場して来る場面を準備しているところだった。舞台は、農民小屋の内部だった。古風な小さい窓の下におかれた箱の上にかけて泣いている婆さんと、そのわきに絶望的にたっている若い女、二人の前でたけりたって拳固《げんこ》をふりながらおどしつけているルバーシカに長靴ばき、赤髯の強慾そうなつらがまえの中親父。そこへ、上手のドアが開いて、どっと附近の農民たちが流れこみ、ぐるりと三人をとりかこんでしまう、そのどっとなだれこんで三人をとりまく瞬間の農民の集団の動きを、エイゼンシュタインが必要とするテムポと圧力とでカメラに効果づけるために、
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