ヘ未然に発見されたと泰造は書いているのだった。三月下旬のある晩、まだ高校が春休み中だった保もまじえて、みんなが賑やかに夜をふかし、保だけをのこして、両親は二階の寝室へあがった。寝ついてしばらくたったとき、泰造はふと、いつも眼鏡、いれ歯、財布、時計などを入れて枕もとにおく小物入れの箱を食堂へおきっぱなしにして来たのを思い出した。泰造が階下へおりて食堂へ行こうとすると、真暗な廊下にひどくガスのにおいがした。廊下をはさんで食堂と向い合いに洋風の客間があって、そこにガスストーブがおかれている。泰造はそれを思いだしてスウィッチをきって、客間の電燈をつけた。そして、内から鍵をかけたその室にガスの栓をあけ放して保が長椅子の上に横になっているのが見つけられた。保は廊下に面した小窓が外からあくのを忘れていたのだった。その夜は母も保も共に泣き、余も思わずもらい泣きをした。こういうことがあったから、東京から行った若いものが多計代に、保さんはこっちへ来ていませんか、ときけば、それで十分母の多計代にとって保の身に何事かあったという暗示になる。そのいきさつの説明として泰造は伸子への手紙に書いているのだった。
 な
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